日曜日のなのはな

北極を探しにいく・日曜日更新+気まぐれ

ネトフリでよくみる『セックス・エデュケーション』

年明け早々からいろいろあった私は、筆が進まないまま日曜日を4回も迎えてしまった。

でもそれはあくまでひとつの理由で、とにかく毎日寒すぎて何もする気になれず布団にくるまっていた、というのがもうひとつの理由である。

冬が来るたび、人間も冬眠すればいいのにと思う。年々、寒さに耐えられなくなってきたのは年のせいでしょうか…

では布団のなかで何をしてたかというと、今更ながら『セックス・エデュケーション』に見事にハマってしまった。Netflixのオリジナルドラマだ。

www.netflix.com

大学時代の友達に勧められたのだが、第1話を飛行機の中で観始めた私はアホだった。これは公衆の場で観ないことを強くお薦めする。

あらすじ

主人公はイギリスの高校に通うオーティスという男の子が、あるきっかけで秘密裏に「セックス・クリニック」を開き、性の悩みを抱える学生たちの相談に乗りはじめる、というストーリー。

主な登場人物はこんな感じ。

  • オーティス:おとなしい男の子。童貞。無神経な母親と、自慰できないことに悩んでいるが性の知識は豊富。
  • ジー:オーティスの母親。自宅でセックスセラピーを開業しているため、家が秘宝館みたいになっている。シングルマザーで、思春期ど真ん中のオーティスとたびたびぶつかる。ジーンの顔めっちゃ好き。
  • エリック:オーティスの親友でゲイ。いじめられても、下手なフレンチホーンで恥をかいても超明るくて大好き。
  • メイヴ:オーティスのクラスメイトの女の子。全盛期のアヴリルみたいな強めのメイク。聡明という言葉がぴったりで大好き。

他にも魅力的な登場人物が紹介しきれないほど出てくる。

飛行機で観始めた第1話はいきなり本番行為の場面から始まり、ビビった私は隣に座ってる男性の視線を急いで確認した。海外ドラマをなめてるとこうなる。

でもコメディドラマなので、思わず笑っちゃう。

男の子が精力剤を飲みすぎてとんでもないことになったり、悪戯でヴァギナの写真がばら撒かれたり。処女の女の子がエリックの家で急に上裸になって迫ってくるシーンは笑った。高校生にしてはかなりぶっ飛んでいて、時々心配になるが・・・

はじめは性相談の1話完結かと思いきや、どんどん複雑になっていく登場人物の人間模様に、続きが気になって一気に観てしまった。特にオーティスが誰と付き合うのか、誰と童貞を卒業するのかは要注目である。

性教育ドラマとしての一面

でも、笑えるだけじゃない。『セックス・エデュケーション』というタイトルだけあって、悩める高校生たちが打ち明ける性の相談は誰しもが通ったことのありそうな悩みばかりだ。それでいて、気軽に相談できずに鬱々と抱えてしまいそうな。

どの悩みも恥ずかしいものとせず、オーティスが真摯に向き合い、解決の糸口に辿りつくまでを丁寧に描いているところが良かった。

『セックス・エデュケーション』では、セックスすることを肯定的に捉えている。一方で、きちんと避妊しなかったカップルが不安になりながら避妊薬を買いに行ったり、中絶手術を受ける場面があったりする。ちょっとした場面に性の知識も散りばめられていて、これを高校生とかに見せたらめっちゃ勉強になるだろうなと思う。

個性が当たり前になっている

それ以上に感動したのは、様々な性や恋愛のあり方、嗜好が至極当たり前に描かれていることだった。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー。全部網羅してるし、なんならいっぱい出てくる。物語の途中で思いがけない二人が恋人同士になったりする。

LGBTだけじゃない。一番驚いたのは、自作のSF官能小説をベースにエイリアンコスプレでセックスをする女の子だった。なるほど確かに、それもひとつの個性だ。そんな個性を恋人や家族がどう受け入れるか、といった点もドラマの見所になっている。

でも次々と登場する性愛の形に対して登場人物が驚く場面はない。少なくとも学生の間では「あらそうなのね」と、さらりと受け入れられている感じがするのだ。

最初はいちいち驚いていた私だったけど、途中からは驚いてる自分が変なのかなと感じてきた。シーズン3ではもう驚いていなかった。

巷ではダイバーシティだ、多様性だと謳われているけど、わざわざ掲げて謳うこともなくなるのが目指すべき世界なんだろうなと思う。当たり前じゃないとされてきたものを当たり前にしていくって、改めてすごく難しい。

みんな中身の個性も強ければ、見た目や体型もバリエーション豊かだ。見た目によってスクールカーストがあったり、いじめられたりもするのだが、垣根は物語が進むごとに薄れていく(普段お互いに関わらない女の子たちが、居残り課題に取り組むことで絆を深める場面がとても好き)。

外見も内面も個性に溢れた登場人物たちがみんな、自分に誇りを持ってキラキラ輝いているのが素敵だった。

日本の学園ドラマはアイドルみたいな女の子とアイドルみたいな男の子がいっぱい出てくるイメージだが、『セックス・エデュケーション』を観ると色んな人が出てるドラマがもっとあっても良いのにと思ってしまう。もっとも最近は学園ドラマ自体が少ない気がするけど。

自分の意志を貫いてもなんとかなる

登場人物たちは、意志も強い。自分のやりたいことや好きなことに対してまっすぐに進んでいく。高校生のオーティスたちは悩んで迷って、遠回りしながら行き着いているのだが、個人的には母親のジーンが一番迷いなく、我が道を進んでいる気がする。

オーティスが幼い頃に離婚したジーン。その後の自由奔放な恋愛にオーティスが腹を立てたり、それを知ってジーンが悩むこともある。でも自分への素直さと周りとの誠実な関係を両立させているジーンを見ていると、どんな家族の在り方でもなんとかやっていけるんだなと思う。(周りを傷つけてしまうこともあるけど)。

ジーンをはじめ、誰しも自分の意思を貫くことで、友達や家族や恋人とぶつかる場面が多々ある。でも最後には本音で話し合うことで良い方向に向かっている姿を見ると、勇気をもらえた。

次シーズン、待ってる

タイトルにギョッとした人には、『セックス・エデュケーション』が恋愛と友情と家族のドラマであることをぜひ知ってほしい。

たくさん笑って泣いた後に、もっと自分をオープンにしていったらいいんだと、ふっと気持ちが軽くなった。シーズン4を心待ちにしている。

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