日曜日のなのはな

北極を探しにいく・日曜日更新+気まぐれ

副社長と対談してみた話

私の職場はTHE・日系企業という感じの会社だが、そのお堅い企業文化を改革すべく、ここ数年は外部から人を雇って改革本部を作ったり、現場からボトムアップでプロジェクトを立ち上げたりしている。

その一環みたいな形で、経営陣×若手のオンライン対談イベントを主催することになった。

幹部1名と有志の若手メンバー4名がそれぞれ自宅でお酒を飲みながら、リモート接続で対談する。それをZoom Webinarで生配信するという社内イベントである。

きっかけ

企画自体は私の同期が立ち上げたもので、全国の様々な部門の若手が持ち回りで開催する。出演する経営陣も都度変わる。

その同期から私に連絡があり、第3回目となる副社長との対談を任されたというのが事の経緯だ。

「経営陣と若手社員が本音トークをすることで、視聴社員に経営陣をより身近に感じてもらいたい。そしてこの場を借りて若手の意見を経営陣、会社にぶつけていきたい」

そんな熱い思いを持ち、行動に移す同期は凄いと思う。

私はというと、そんな情熱も行動力もない。同期のよしみでお願いされたから、じゃあやるかとなった。それに、イベント企画をやるのは結構好きなのだ。

こんな軽い気持ちで引き受けたのが秋のこと。それから準備が始まった。

メンバーを集める

だが、軽い気持ちでやるには重たいイベントだった(そんなことは最初から明らかだったけどやっぱりそうだった)。

まず、メンバー集めに苦労した。

一人は絶対信頼のおける人にしたかったので、仕事ができてトークも上手そうな後輩に声をかけた。先輩の権力により、もちろんオッケーである。

残り2人のメンバーを集めるためには、自部門の若手会に募集をかけてみた。だが60人以上いる会にもかかわらず、誰一人手を挙げない。

うん、やっぱりそうですよね。忙しいもんね。

ま、若手会で募集をかけたのはみんなに平等にチャンスを与えたよっていう建て付けが欲しかっただけやし?と強がってみたが、そんなことを言ってもどうしようもない。結局、私の独断と偏見で後輩を2人選び出し、個別に依頼した。これも先輩の権力により、オッケーである。

私が先輩である以上、「先輩の権力」がどうしても働いてしまい半強制的にやらせてる気がしてすごく嫌だった。でも若手会で最年長の私が、年次バラバラのメンバーを揃えようとすると後輩を誘うしかなかったのである。

こうなったら後輩たちの顔を売るために絶対成功させねば、という責任感が原動力に加わった。

メッセージを考える

100%オンラインとはいえ、当日までには多くの準備が必要だ。

Webinarの運営部署と段取りを整理してリハーサルを行い、イベントの告知記事を社内ポータルに掲載し、副社長に事前説明をする。副社長が当日に飲むお酒も手配しなければいけない。やり方は確立しているが、手を動かすのは全て私たちだ。

だが、そんな作業は面倒でも大変ではない。メンバー集め以上に大変だったのは、対話のコンセプト構想だった。

後援してもらっている改革本部の人にはこう言われた。

「対談でただ副社長とおしゃべりするのではなく、私たち若手が副社長との対談を通して会社に発信したいメッセージを考えてほしい。」

「上司に言っても取り合ってくれないような若手の意見や問題提起も、いきなり経営陣にぶつけてしまえば変えられるかもしれない。そんな機会にしてほしい。」

私は後輩たちと何度も話し合って、テーマを2つ決めた。

  • 部門間の壁を壊せ!私たちがハブとなるためには ※一部省略
  • 時代は変わった!これからの私たちに求められる営業像とは

このテーマを台本に落とし込んでいく。若手の考えが伝わるように発言と質問を組み立て、流れを作っていくのがまた大変だった。

終わってから振り返ると、もっと当日のアドリブに任せても良かったかもしれない。

でも後輩たちが真剣に考えてくれたおかげで内容に深みが生まれ、若手の存在感が示せたんじゃないかと思う。それに話し合っていくなかで、みんなモヤってることや、秘めてる情熱みたいなものがあるんだと知れて良かった。

こうして約3ヶ月、業務の合間にちまちまと準備を進めて当日を迎えた。

当日

当日、私は自分からかってでたファシリテーター役に至極緊張していた。副社長との事前顔合せすらガチガチだった自分が、なぜファシリテーターをやると言ったのか…

きっと大丈夫、と言い聞かせ、開始まで秒読みになると自分のボルテージを最大限に上げた。

そこからの記憶はあまりない。

ファシリテーターは難しかった。副社長の話にアドリブでコメントし、時間を見ながら質問を足したり削ったりして調整し、裏でみんなに連絡して、でも顔が死なないように気をつけて、とやってたら脳がショートした。

どうやら良い回にはなったようだ(と思いたい)。

副社長は話しやすい快活なおじさまという印象だった。読んでいる本の話やゴルフの話で盛り上がったし、私たちが設定したテーマについても熱く語ってくれた。

対話が終わると、同じ部署の人や同期が連絡をくれた。アンケートの結果を読むと、ネガティブなコメントもあるが好意的な回答がほとんどで、やって良かったなと思う。

何かがすごく変わるわけじゃないけど

この対談をやったからといって何かが劇的に改善するとか、成果が生まれるわけじゃない。今回視聴した社員が果たしてどれほど、意識が変わったかもわからない。

でもこれを何回も続けていくことが大切なんだろうなと思う。まだ次回のメンバーを見つけられていないけど。

そして、対談を通じて得たものは私たちの方が多かった。特に副社長や改革本部の人と話すことで新しい世界を知れたし、自分の無知を思い知った。きっかけは軽い気持ちだったけど、それでも良かったのだ。

最後に。私が副社長に選んだお酒は、東京港醸造さんの「江戸開城」。都会のど真ん中で美味しいお酒を造るという挑戦に挑んでいるその精神を、私も見習いたいなと思う。

東京港醸造株式会社

f:id:chan_0929soba:20220213195552j:image

夜行バスが好き

と言うと、たいてい変な顔をされる。これまでに共感してくれた人は今のところ二人くらいしかいないので、きっと少数派なんだろう。

夜行バスの利点といえば安さだ。だがその代償はデカい。何時間も狭い座席に縛られて身体はバキバキ。おまけに他人と隣同士じゃ、ぐっすり眠れない。働き始めてお金に困らなくなればわざわざ乗るものじゃない、という意見は理解できる。

こうして周りの乗客が自分より年下ばかりになっていくなか、私は社会人になってからも夜行バスに乗っている。

関西に行く頻度が多かった頃は、少しでも交通費を浮かせたいというシビアな理由もあった。

でもそれだけじゃ乗ってないかもしれない。心のどこかでは、やっぱり純粋に夜行バスが好きなのだ。

お気に入りのバス会社

夜行バスに乗る時は決まってVIPライナーを選ぶ。

vipliner.biz

快適な設備の割に、曜日や便によってはお手頃価格なところが気に入っている。そして民度が高い。

VIPライナーじゃない高速バスに乗ったとき、前に座っている女子二人組に一度キレたことがあった。深夜になってもコソコソ喋りながらお菓子を食べているのがうるさくて許せなかったのだ。

でもVIPライナーに乗るようになってからは、他の乗客にストレスを感じたことがない。民度は重要なポイントだ。

夜行バスでの過ごし方

夜行バスに乗るとき、イヤフォンは必須だ。ネックピローに空気を入れて毛布をかぶったら、音楽を再生する。

私は夜行バス用のプレイリストを作っていて、少しずつ曲を追加していくうちに162曲になった。

おすすめはサカナクションの「mellow」やCharaの「上海ベイベ」、山下達郎の「FUTARI」、King & Princeの「ナミウテココロ」。このプレイリストを消灯後から夜通し流し続ける。

暗闇の中で、遮光カーテンから微かに漏れる外灯の光。規則正しく流れていく光をぼんやり眺めて音楽に浸るうちに、とろとろと眠りに落ちていく。この時間がとても好きで、私は夜行バスに乗っている。

熟睡するときもあるけれど、眠っているのか起きているのかもわからないような狭間を行き来して、ずっと微睡んでいるときがほとんどだ。

眠れなくてもいいや、と思うようになってからは気が楽になった。狭間のフワフワした感覚のなかで意識の遠くから聞こえてくるサカナクション山下達郎は幻想的で心地いい。

途中の休憩で降りたことはほとんどない。深夜のサービスエリアを楽しみたい気持ちもあるのだが、バスが止まっていることに気づかず出遅れてしまう。

そうこうしているうちに寝てしまい、いつのまにか朝になっている。

f:id:chan_0929soba:20220205173656j:plain

お楽しみ

ボーッとしながら、人のいない早朝の都会を抜けて帰る時間も好きだ。

夜行バスに乗ったあとは朝マックと決めている。大阪行のバスの降車場所から駅に向かう途中にマクドがあり、毎回寄っていたら恒例行事になった。

年に数えるほどしかマクドに行かない私にとっては、こんなマイルールもちょっとした楽しみだ。

f:id:chan_0929soba:20220205174628j:image

先輩が好きな乗り物について書いていたので、私も真似をしてみた。

夜行バス、乗ってみたくなりましたか?

ピアスをあける

腰が重いくせに、一度やると決めたことはすぐやりたくなるせっかちな人間、それが私である。

行きたいと思った場所には明日にでも行きたくなり、誰かを誘うことさえ待てずにひとりで行ってしまうときがある。欲しいと思ったものはネットですぐ買ってしまう。

土曜日は急にピアスをあけた。大学生の頃からずっとあけたかったのだが、怖くて実現できていなかった。でもこの前友達とピアスの話になり、なぜか「注射がいけるならピアスもいけるんちゃうか?」とふと思い立ったのだ。

こうなるともう止まらない。さっそく行きつけの皮膚科に行く。

お医者さんに「この位置にしか開けられませんがいいですか?」と言われてもオッケー。

ファーストピアスが少々ダサくてもオッケー。

なにしろ私は、一刻も早くピアスを開けたいのだ。

こうして数年間あけられなかったピアスは、3日であいた。

衝動

それにしても"思い立ったが吉日"を体現しているというのか、衝動に駆られるというのか。決心するやいなや急にスイッチが入るらしく、猪突猛進のごとく突き進んでしまう。

そんな性格もあってか、私は急な予定変更にとてもストレスを感じる。

お寿司を食べに行こうと約束していたのに当日になって急に「やっぱりパスタにしよう」と言われる、なんてことが受け入れがたい。

もともと行き先を決めていなかったならパスタでもいいのに、"お寿司"というゴールができた途端そこに真っ直ぐに進みたくなってしまう。言ってしまえばガンコ野郎なのである。

今日のランチの話ならそれでも良いかもしれないが、一度決めたことに拘りすぎるこの性格のせいで、いつか選択を見誤ってしまうんじゃないかと怖い。

スイッチが入った私は、何が何でも今すぐ目的を達成したくなる。それゆえに途中で「ん?」と違和感を感じても後戻りできなかったりするからだ。

仕事では時々「またやりかけた」と我に返るときがあるが、それでもこの癖はなかなか抜けない。

決めるまではあれこれ悩んで石橋叩いて割るくせに本当によくわからない性格だな、と自分でも思う。

ピアスの穴だって、勢いで変な位置にあけてしまうと取り返しがつかなくなる。ベストな選択は何なのか、都度考え直せるような柔軟性を持ちたい。

新しい景色

一方で、スイッチがないと私という人間はきっと永遠に動かず、また布団にこもる日々を送ってしまうだろう。だから、たまに生まれるこの衝動を大切にしてもいる。

衝動に身を任せることで、新しい景色を見ることができる。

私の耳で小さく光るピアスは、とっくに大人の私を、大人になったような背伸びした気分にしてくれた。ファーストピアスが外れたら、お洒落の幅も広がるだろう。楽しみだ。

f:id:chan_0929soba:20220204215503j:image

ネトフリでよくみる『セックス・エデュケーション』

年明け早々からいろいろあった私は、筆が進まないまま日曜日を4回も迎えてしまった。

でもそれはあくまでひとつの理由で、とにかく毎日寒すぎて何もする気になれず布団にくるまっていた、というのがもうひとつの理由である。

冬が来るたび、人間も冬眠すればいいのにと思う。年々、寒さに耐えられなくなってきたのは年のせいでしょうか…

では布団のなかで何をしてたかというと、今更ながら『セックス・エデュケーション』に見事にハマってしまった。Netflixのオリジナルドラマだ。

www.netflix.com

大学時代の友達に勧められたのだが、第1話を飛行機の中で観始めた私はアホだった。これは公衆の場で観ないことを強くお薦めする。

あらすじ

主人公はイギリスの高校に通うオーティスという男の子が、あるきっかけで秘密裏に「セックス・クリニック」を開き、性の悩みを抱える学生たちの相談に乗りはじめる、というストーリー。

主な登場人物はこんな感じ。

  • オーティス:おとなしい男の子。童貞。無神経な母親と、自慰できないことに悩んでいるが性の知識は豊富。
  • ジー:オーティスの母親。自宅でセックスセラピーを開業しているため、家が秘宝館みたいになっている。シングルマザーで、思春期ど真ん中のオーティスとたびたびぶつかる。ジーンの顔めっちゃ好き。
  • エリック:オーティスの親友でゲイ。いじめられても、下手なフレンチホーンで恥をかいても超明るくて大好き。
  • メイヴ:オーティスのクラスメイトの女の子。全盛期のアヴリルみたいな強めのメイク。聡明という言葉がぴったりで大好き。

他にも魅力的な登場人物が紹介しきれないほど出てくる。

飛行機で観始めた第1話はいきなり本番行為の場面から始まり、ビビった私は隣に座ってる男性の視線を急いで確認した。海外ドラマをなめてるとこうなる。

でもコメディドラマなので、思わず笑っちゃう。

男の子が精力剤を飲みすぎてとんでもないことになったり、悪戯でヴァギナの写真がばら撒かれたり。処女の女の子がエリックの家で急に上裸になって迫ってくるシーンは笑った。高校生にしてはかなりぶっ飛んでいて、時々心配になるが・・・

はじめは性相談の1話完結かと思いきや、どんどん複雑になっていく登場人物の人間模様に、続きが気になって一気に観てしまった。特にオーティスが誰と付き合うのか、誰と童貞を卒業するのかは要注目である。

性教育ドラマとしての一面

でも、笑えるだけじゃない。『セックス・エデュケーション』というタイトルだけあって、悩める高校生たちが打ち明ける性の相談は誰しもが通ったことのありそうな悩みばかりだ。それでいて、気軽に相談できずに鬱々と抱えてしまいそうな。

どの悩みも恥ずかしいものとせず、オーティスが真摯に向き合い、解決の糸口に辿りつくまでを丁寧に描いているところが良かった。

『セックス・エデュケーション』では、セックスすることを肯定的に捉えている。一方で、きちんと避妊しなかったカップルが不安になりながら避妊薬を買いに行ったり、中絶手術を受ける場面があったりする。ちょっとした場面に性の知識も散りばめられていて、これを高校生とかに見せたらめっちゃ勉強になるだろうなと思う。

個性が当たり前になっている

それ以上に感動したのは、様々な性や恋愛のあり方、嗜好が至極当たり前に描かれていることだった。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー。全部網羅してるし、なんならいっぱい出てくる。物語の途中で思いがけない二人が恋人同士になったりする。

LGBTだけじゃない。一番驚いたのは、自作のSF官能小説をベースにエイリアンコスプレでセックスをする女の子だった。なるほど確かに、それもひとつの個性だ。そんな個性を恋人や家族がどう受け入れるか、といった点もドラマの見所になっている。

でも次々と登場する性愛の形に対して登場人物が驚く場面はない。少なくとも学生の間では「あらそうなのね」と、さらりと受け入れられている感じがするのだ。

最初はいちいち驚いていた私だったけど、途中からは驚いてる自分が変なのかなと感じてきた。シーズン3ではもう驚いていなかった。

巷ではダイバーシティだ、多様性だと謳われているけど、わざわざ掲げて謳うこともなくなるのが目指すべき世界なんだろうなと思う。当たり前じゃないとされてきたものを当たり前にしていくって、改めてすごく難しい。

みんな中身の個性も強ければ、見た目や体型もバリエーション豊かだ。見た目によってスクールカーストがあったり、いじめられたりもするのだが、垣根は物語が進むごとに薄れていく(普段お互いに関わらない女の子たちが、居残り課題に取り組むことで絆を深める場面がとても好き)。

外見も内面も個性に溢れた登場人物たちがみんな、自分に誇りを持ってキラキラ輝いているのが素敵だった。

日本の学園ドラマはアイドルみたいな女の子とアイドルみたいな男の子がいっぱい出てくるイメージだが、『セックス・エデュケーション』を観ると色んな人が出てるドラマがもっとあっても良いのにと思ってしまう。もっとも最近は学園ドラマ自体が少ない気がするけど。

自分の意志を貫いてもなんとかなる

登場人物たちは、意志も強い。自分のやりたいことや好きなことに対してまっすぐに進んでいく。高校生のオーティスたちは悩んで迷って、遠回りしながら行き着いているのだが、個人的には母親のジーンが一番迷いなく、我が道を進んでいる気がする。

オーティスが幼い頃に離婚したジーン。その後の自由奔放な恋愛にオーティスが腹を立てたり、それを知ってジーンが悩むこともある。でも自分への素直さと周りとの誠実な関係を両立させているジーンを見ていると、どんな家族の在り方でもなんとかやっていけるんだなと思う。(周りを傷つけてしまうこともあるけど)。

ジーンをはじめ、誰しも自分の意思を貫くことで、友達や家族や恋人とぶつかる場面が多々ある。でも最後には本音で話し合うことで良い方向に向かっている姿を見ると、勇気をもらえた。

次シーズン、待ってる

タイトルにギョッとした人には、『セックス・エデュケーション』が恋愛と友情と家族のドラマであることをぜひ知ってほしい。

たくさん笑って泣いた後に、もっと自分をオープンにしていったらいいんだと、ふっと気持ちが軽くなった。シーズン4を心待ちにしている。

f:id:chan_0929soba:20220130192954j:plain

2021年の漢字(ポジティブ編)

いつからか一年が終わる頃、私は自分の「今年の漢字」を選ぶようになった。

今年の漢字

2021年の漢字は「繋」を選んだ。私にとって多くの人と繋がり、新しい交友関係が広がった1年だったからだ。

オタ活を通して新しい友達ができた。

キャリアの相談をするなかで、今まで全く関わりのなかった部門の人と素敵なご縁ができた。

学生時代の友達と再び連絡することが増えた。

そうなった背景には、ある出来事がきっかけで私のマインドが変わったのも大きい。

今まで友達は少なくていいと思っていたし、だから交友関係には受け身の姿勢だった。

でも自分から動くと、意外にも喜んでくれる人がいるとわかった。私も楽しかった。新しい世界が広がっていいもんだなと実感した。

友達100人作ろうとは考えてないけど、自分から動いてみることはこれからも意識したいと思う。

ブログを始めて知ったこと

そしてこのブログも、私に新たな繋がりを増やしてくれた。最初はどこまで継続できるか疑わしかったが、なんとか続いている。

ブログでひとつ得たのは、多少雑でも定期的な更新を続けてきた自分に対する小さな自信だ。(サボった週が時々あったのは見なかったことにする)

一方で、初めて知った葛藤もある。

誰かに読んでほしい。でもしょーもないと思われるのが恐い、という矛盾した感情があった。初めはツイッターに投稿するつもりじゃなかった。でも人に読まれる緊張感は、文章を磨く動機になる。しょーもないと思われたなら、次読む人には面白いと感じてもらえるよう書くまでだと、発信を続けた。

自分の文章を書いているつもりでも、どこかで読んだ誰かの文章を受け売りしているだけではないか?という不安。

ユニークな文章を書くことが、いかに難しいか痛感した。アイデア、表現、何においても独自性を作り上げるのはめちゃくちゃ大変だ。作家さんたちの凄さを身に沁みて感じた。

自分の心の声を書ききれないまま、途中で面倒くさくなって無理やり結論を作ってないか?とも思った。

綺麗に着地させることなんていくらでも出来るけど、それはなんか違う。でも自分の中に湧き出た相反する感情を文字に起こせないまま、いつまでも下書きに残っている記事の骸もいっぱいある。

来年

なんてあれこれ思いつつ、毎週日曜日になると勇気を出してエイっと投稿した。

すると長らく会ってない友達が「実は愛読してる」と連絡してくれたり、顔も知らないはてなブログの人たちがスターをくれたりした。私の文章は、色んな人と繋がるきっかけになった。

文章を書くのは難しい。でも楽しい。

そしてこんな青臭いブログを読んでくれる人がいることがなによりも嬉しい。

ただの趣味でやってるブログだけど、どの記事もそれなりにこだわって書いた私の分身だ。空振りだらけだった2021年に私が唯一打てたバントかもしれない。

そして来年はこのブログが、もっと繋がりの広がる場になればいいと思う。

f:id:chan_0929soba:20211231140533j:image

2021年の漢字(ネガティブ編)

いつからか一年が終わる頃、私は自分の「今年の漢字」を選ぶようになった。

今年の漢字

2021年の漢字は「空」を選んだ。

今年は色んなことが空振りした1年だったからだ。

周りの友人が結婚や出産、転職とライフステージを登っていき、経験値を積んでいく。そのなか私ひとりだけはずっと足踏みしてるみたいな焦りが拭えない。

だから今年は、ひょんなことから知った活動を本腰入れてやってみるか!と決心したこともあった。でもすぐにその活動が思ってたものと違うと知り、何も始まらないまま手を引いた。

活動の本質を見抜けなかった自分にショックだった。でもそれ以上に、結局私は他力本願で、自分で覚悟を決めて頑張ろうとしていなかったことを痛感した。盛大な空振りだった。

仕事での空振り

仕事でも大した成果を出せなかった。12月なんかはむしろ、最終月にして最も波乱に満ちた月だったと思う。

私が主担当として進めていたプロジェクトは、今月にいよいよ契約というフェーズを迎えていた。それなのについ1週間前、一番肝となる主要機能を入れないと客先の上長から言われてしまったのだ。(それ以外にも色んなピンチが起きたが、ここでは割愛する)。

金額もがくんと落ちるようなドンデン返しをくらったが、私はそのピンチを乗り越えられるようなリカバリができていない。色んな人に助けてもらってばかりだ。申し訳なさと自分の無力感が空しかった。

極めつけは今後のキャリアプランの話。

私が勇気を出して異動希望を会社に出したのは秋のことだ。色んな人に話を聞いて相談し、悩んだ末の決断。だが年末の最終日、その検討が白紙になってしまった。

白紙になったのは誰のせいでもない。ただただ、どうしようもない。でもまた空振ってしまったと、その日は少し落ち込んだ。

プライベートでの空振り

プライベートも空振りは続いた。

キンプリのファンになってから初めて、岸くんに一度も会わない年になってしまった。ライブがあるたびに僅かな希望を抱いて申し込み、落選の文字を見る繰り返し。

それでもSexyZoneのライブや神宮寺くんの舞台には行けてありがたかったが、やっぱり岸くんに会いたかったなぁと思う。馬鹿みたいだけど落選が辛すぎて、一時期はジャニオタを続けるか本気で悩んだ。

 

普段の私は、自分から動き出すことが少ない。そんな私にしては、何かしら行動を起こしてみた年だった。でも見事に三振。思い返せば笑っちゃうほど何も進んでない。

だからといって、100%頑張ったかといわれると微妙だ。やってみても上手くいかないから、全部がめんどくさくなって投げ出している時期もあった。そうやって中途半端な気持ちでやるから空振りするんだと思う。

これで今年分の膿を吐き出した。少しでも行動を起こしたことは評価するとしよう。嫌気がさしても諦めず、来年もバットを振り続けるしかない。

f:id:chan_0929soba:20211231105319j:image

変わらないまま、変わっていく

6年ぶりにサカナクションのライブに行った。

魚民(ファンの呼び名)と自称するには恐れ多いが、高校生の頃に友達から『アルクアラウンド』を教えてもらったことをきっかけにずっと聴いている。美しいメロディーとカッコいいアレンジが大好きなのだ。

そんなサカナクションのライブは、レーザーライトなどの照明演出にすごくこだわっている。没入感がハンパなくて、6年前のライブは印象に強く残っていた。

今回のライブは『SAKANAQUARIUM アダプトツアー』。演出には舞台の要素もあるらしく、どんな感じになるんや?と思っていたら、没入感は健在。むしろパワーアップしていた。

◯億円かけて建てたらしい(?!)アダプトタワーという巨大セットで、女優の女の子が舞う。両側のディスプレイに映される映像。包み込まれるような音響。そして照明の全てが組み合わさると、まるでMVの中に入り込んだような心地がした。

名曲『目が明く藍色』は一本の映画を観るほどの充実感。気がつけば涙が流れていた。なにに感動したとかいう説明がつかない。ただひたすら音楽に心が揺さぶられて出た涙だった。

終始、美しくカッコいいサウンドを全身に浴びて頭がクラクラする不思議な時間だった。

円盤化されていない最新曲から代表曲まで休みなく続き、あっという間にアンコール。MCではメインボーカルの山口一郎さんがサンタコスで登場し、会場が湧く。

f:id:chan_0929soba:20211226122815j:image

僕たちがデビューした15年前の曲です、と『三日月サンセット』『白波トップウォーター』を歌ってくれた。大好きな曲だ。

最近のサカナクションとはまた少し違う雰囲気に、山口さんが『ミュージック』という曲の解説で話していたことを思い出した。

ミュージックの歌詞はこんなフレーズで終わる。

いつだって僕らを待ってる まだ見えないままただ待ってる だらしなくて弱い僕だって 歌い続けるよ 続けるよ

「歌い続けるよ」って少し青臭いし、若いときしか説得力がないよね、と山口さんは言った。だからあのとき、この曲を作って良かったと。

山口さんが作る音楽はどれもそのときしか生まれないものだ。山口さんの一瞬の叙情を切り取った、かけがえのないもの。

それはどの芸術にも通じる。

アーティスト達はそうやって、すぐ通り過ぎてしまう叙情をつかまえ、磨きあげて芸術という形に残す。

15年前のサカナクションと今日のサカナクションは違う。その儚さと、それでも曲を通して15年前のサカナクションの欠片を感じられる嬉しさで胸がいっぱいになった。そして、人生の時間を削って芸術を世に生み出してくれるアーティストへの尊敬の念も。

最後のMCで、山口さんはコロナ禍の2年で感じたことを語った。

コロナによって、毎日通勤していた私たちの生活はステイホームに変わった。アーティストである山口さんはそれを見て、自分とファンの生活スタイルが近づいたと感じたそうだ。みんなと共有できる感覚の範囲が広がったのではないかと考えたという。

これまでのCD+ライブとは違う、今の生活スタイルに合った表現方法ができないかと、オンライン配信とリアルライブを組み合わせた今回のツアーを考えた。オンライン配信で新曲を披露し、リアルで観たい人はライブで再び聴く。そこに新しい見え方が生まれることを狙った。

「変わらないまま、変わっていきます」と山口さんは言った。

その言葉はまさに私が半年前に綴った、サカナクションが好きな理由だった。

sundays-flower.hateblo.jp

そして観た、今回のライブ。6年前のライブとも違う、新たな感覚に私は驚いた。

もしかしたら、山口さんの考えが高尚すぎてその全てを理解できていない時もあるかもしれない。そうだとしても、これからも変わっていくであろうサカナクションの「その瞬間の芸術」は私を新鮮な感動に導いてくれるはずだ。それについていきたい。

そんな、これからの期待とワクワク感を抱かせてくれたエンディングだった。

 

最後に。山口さん、グッズ買いました!!!

f:id:chan_0929soba:20211226122826j:image