日曜日のなのはな

北極を探しにいく・日曜日更新+気まぐれ

ロマンチスト小学生女子

今週のお題「忘れたいこと」

忘れたいことなんて、人に言いたくないことがほとんどでは?と思うのだけど、かろうじて時効になった小学生時代の出来事を書こう。

幼い私はセーラームーンが大好きで、うさぎとまもちゃんみたいな恋愛に憧れる、夢見るロマンチスト恋愛脳だった。

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ちなみにまもちゃんはうさぎの恋人であり、タキシード仮面であり、プリンス・エンディミオンの生まれ変わりであり、未来のキング・エンディミオンである(ややこしい)。

幼稚園のときは好きな男の子を追いかけまわし、ハートの形の石を砂場で見つけると家に持ち帰って恋の成就を願掛けしたものだ。(これも忘れたい黒歴史である)

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小学校にあがってもその性格は変わらず、私の「まもちゃん」を常に探していた。でもそれは恋愛感情というより、クラスの中で一番お気に入りの男の子を見つけては友達と共有しあうような、そんな感覚だった。

友達との恋バナのネタになるだけならまだ平和だ。

ただ、それだけで終わらなかった。

小学2年生になり、私の「まもちゃん」は松本くん(仮称)という男の子になっていた。猫目の普通の男の子。当時の私の乙女心にその子の何が刺さったのか、今となってはわからない。

ただ、それまで男の子に逃げられてばかりだった私が、今回はなんと二人でデートする約束をとりつけたのである。いったいどういう経緯でそうなったのかは謎だ。

そして当日。松本くんと私は、小学校の前の公園で待ち合わせた。

しかしどこから聞きつけたのか、クラスのガキ大将たちも公園にいたのだ。

逃げようとするも、からかって追いかけてくるガキ大将たち。あちらは5,6人ほどいるもんだから太刀打ちできず、松本くんと私は取り囲まれてしまった。

ガキ大将たちが私たちを囲みながら「キース!キース!」と連呼する。小学生男子の典型的なあおりが、今思い出すとおかしい。

するとあろうことか、松本くんが私の頬にキスしてしまったのだ。

その瞬間私は、飛び跳ねるように輪から抜け出した。この時点で号泣。なぜ松本くんがガキ大将のあおりに乗ってしまったのか全く理解できなかった。

腹立たしいやら恥ずかしいやらで涙が止まらず、ボロボロの顔で公園から逃げ帰った私は、一体どんな顔で帰宅したのだろうか。親に心配されそうなものだが、それも覚えていない。

ついに成就したかと思った恋はあまりにも苦い思い出となり、私は自分の中で闇に葬った。

しかし数年後、この思い出が再び私を苦しめることになる。

この出来事からほどなくして、私は一時的な親の転勤で引っ越すことになった。同じ街に戻ってきたのは中学3年の春。

戻ってきたとはいえ、5年も経てばほぼ転校生。人間関係が完成されているこの時期に、果たして馴染めるのか?ただでさえ不安なのに、松本くんもガキ大将も順当に同じ中学校に進学し、隣のクラスにいた。

そして私が懸念していた事態は思ったより早くやってきた。

転校して2週間ほどたった頃。ガキ大将がにやにやしながら、松本くんを引きずるようにして連れてきたのだ。

「松本連れてきたで〜」「付き合わんでええん?」

あ、この1年終わった。私は凍りついた。

止める気配がないガキ大将に私は耐えきれず、泣きそうになりながら面と向かって言った。

「そういうの、やめてもらえませんか?」

同い年なのに、緊張してなぜか敬語。言ったところでエスカレートしたらどうしよう。怖くて死にそうだった。

ただ、意外にもガキ大将はあっさりと引いてくれて、その後卒業するまでからかわれることはなかった。いじめられることもなく、楽しい1年を過ごせたのは奇跡だったと思う。こうしてようやく、苦い思い出は闇に葬ることができたのだった。

なんだか私が苦しんだように書いてしまったが、すべて自分が蒔いた種。これを書いている今も恥ずかしくてしょうがない。

そしてロマンチック恋愛脳だった私のせいで、被害を被ってしまった松本くんには大変申し訳なく思っている。どこかで元気に過ごしていると願いたい。できれば会いたくはないけれど…